世襲議員のからくり (文春新書 698)

著者 :
  • 文藝春秋 (2009年5月20日発売)
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感想 : 39
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今回の衆議院選での自民圧勝を受けて、腑に落ちない点もあり、本屋を物色していると、目に止まったので購入した。

著作は2009年、民主党への政権交代の時期に出版された。当時のものを、再び安倍政権となった今読み返すとなかなか面白い。

論説は、まず主張ありきの文体で、いささか根拠が薄い印象も持つ。それでも一面の真実は表している。本文中には、麻生太郎の定額給付金の受け取りに関する、もらうもらわないは人間の矜持の問題というコメントの話題や、成蹊を小中高大とエスカレータで上がってきた安倍晋三が、父の死期にゲームに興じていたエピソード、山口での選挙戦での母の活躍ぶりなどが載っている。

世襲議員は、苦労を知らず、胆力が無い、と言う。ではなぜ彼らは”選ばれる”のか。
小選挙区は、後援会を持ち、地盤を固めたものが有利である。特に地方では、後援会という既得権益を保持する構造が機能している。
世襲議員というのは、この国の形を表す一つの鏡である。今回の自民圧勝の理由が少しずつ見えてきた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治
感想投稿日 : 2012年12月30日
読了日 : 2012年12月25日
本棚登録日 : 2012年12月30日

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