超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか

  • 文藝春秋 (2012年2月11日発売)
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見えないものを見る人間の脳の不思議
占い師、超能力者、予言者、体外離脱、幽霊、ポルターガイスト、降霊術、カルト教団……あなたの脳はこうして彼らに騙されるーーー

「運のいい人の法則」「よく眠るための科学が教える10の秘密」の作者、リチャード・ワイズマン博士が怪奇現象の科学的な謎解きに挑みます。
本書で引用された特異現象のほとんどは科学的に説明されますが、実は説明しきれない事象はまだまだ存在しており、それらは意図的に(?)触れていません。例えば、真性異言(しんせいいげん)ですが、「ゼノグロシー」の訳語で、学んだことのない外国語もしくは意味不明の複雑な言語を操ることができる超自然的な言語知識、およびその現象を指す、超心理学の用語。
有名な事例としては・・
ルシアの事例(憑依現象による真性異言)
1933年、高い教育を受けた16歳のハンガリー少女、ファルツァーディ・イリスが自称41歳の労働者階級のルシアというスペイン女性に身体を乗っ取られる(ように見える)事件が起きた。内気で教養あふれるイリスの性格は、がさつであまり上品とは言えない掃除婦の性格に変わり、イリスの母語であるハンガリー語はルシアの母語であるスペイン語に完全にとって代わられてしまった。この事件はマスコミでも広く報道され、よく知られるようになったが、次第に人々の関心は薄れ、忘れ去られてしまった。70年後の2003年、メアリ・バーリントン、オーストリアのペーター・ムーラッツ、オランダのティートゥス・リーファスら3人の超心理学者がこの事件を再調査し、ルシアと名乗る人格に相当する人物がスペインに実在するかどうかという点の確認と、86歳になったルシアの言語能力を調べた。大規模な調査にも関わらず、ルシア人格に相当する人物の特定はできなかったが、流暢なスペイン語を話すイリスの言語能力は再確認され、資料は心霊現象研究会 (SPR) の図書館に資料として保存されている。(Wikipedia)

学んだこともない外国語を人格が変わったように急にしゃべれるようになるこの現象は、残念ながら科学的な解明には至っておりません。
こうした本を出す以上、世間である程度話題になった事象を避けるべきではありません。
この1点のみで、筆者のサイエンスライターとしての誠実性に疑問符がついてしまいます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年12月10日
読了日 : 2020年12月10日
本棚登録日 : 2020年12月10日

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