ペルソナ 三島由紀夫伝 (文春文庫 い 17-9)

著者 :
  • 文藝春秋 (1999年11月10日発売)
3.36
  • (7)
  • (16)
  • (38)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 240
感想 : 26
3

ある意味、神格化された作家、三島由紀夫。
何冊かの作品は読めど、個人的にはエロスと美文でノーベル賞候補にもなり、ボディビルやゲイの趣味があり、割腹自殺した人物というかなり断片的知識しか持ち合わせていなかった。多重人格という仮面をかぶった人物、本書は三島の素顔(仮面の中の人格)に迫る。3代にわたる官僚一家である平岡家の歴史も詳しく調べあげた労作です。
中でも、三島の花嫁候補に正田美智子(毛並みの良さで聖心女子大生のころから政財界から引く手あまた)の名前が挙がっていたのは驚いた。岸田今日子や兼高かおるも当時の遊び友達だったらしい。
本書の最大の読みどころは、やはり自衛隊市谷駐屯地での一大活劇である。1970年11月25日、総監を人質にとっての総監室籠城、反撃にあい日本刀での立ち回り、バルコニーからの肝心の演説も取材ヘリの爆音にかき消されて聞こえないという何とも滑稽な情景、さらには自衛隊員のために命を懸けてアジを飛ばせど響かない自衛隊員たちからはまさかの野次という最悪の屈辱・・
三島の割腹自殺から既に52年、今もなお自衛隊は違憲状態のまま存在している。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月30日
読了日 : 2021年10月30日
本棚登録日 : 2021年10月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする