自分を知るための哲学入門 (ちくま学芸文庫 タ 1-3)

著者 :
  • 筑摩書房 (1993年12月1日発売)
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本棚登録 : 1150
感想 : 80
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現役東大生が書いた「東大読書」で紹介されていた本だが、読んでよかった。
本書の前書きで何となく敷居の高そうな哲学が、少し身近に感じられるようになる。後半になるにつれだんだんと専門的になりますが・・・
本書で気になった個所、例えば、哲学とは、自分で自分を深く知るためのひとつの技術、自分と世界との関係を深く知るための技術と定義する。
また、人間の生活をロバに乗って歩く姿の例えも味わい深い。
思想とは、奥深く隠された高尚な真理を告げるものでなく、人間同士の相互了解の可能性を押し広げるための技術に過ぎない、言い換えれば、心理を発見したり表現したりするための道具ではなく、妥当を導くための技術なのである。・・
などできるだけわかりやすい言葉を使って解説しようとする意図が伝わってくる良書です。
デモクリトスの以下の言葉がいい。
「様々な物欲に悩まされることなく、現在の自分に満足せよ。みじめな人々の生活を観察して彼らの苦しみをよく考えるがいい。そのことは一層多くを望んで他人を羨ましんだり妬んだりしないために必要なことだ。知恵こそが幸福の条件である。不正をしないことでなく、それを欲しさえしないということが大事だ。他人に対してではなく自分自身に恥じることを学べ。良いこと悪いことに関して自分自身に対してはばかり、このことが魂に対する法律として定められるようにせよ」
哲学とは、自分を知るための技術であり、人生の道しるべともなりえる道具だということです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年2月10日
読了日 : 2020年2月10日
本棚登録日 : 2020年2月10日

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