著者が描く淡い独特の世界の中に、人間の緻密な感性や起伏する感情がささやかに色をさすような、穏やかな一冊です。際立って目立つような人物がいるわけでもなく、どちらかといえば地味で大人しい主人公たちだけれど、言葉で言い表せないような鮮やかさ、というか、丁寧さをまとって生きているのが、ページをめくるたびにしみじみと伝わってきて、悲しいわけでもないのに、胸に熱く響きました。生きるというのは、ということを、登場人物たちの日常を通して伝えてくれる本です。壮大であったり派手であったりする必要はなく、ささやかなところに人生は広がっているんだなと、読んでいる私たちの生活に小さなアドバイスを与えてくれるような、手放せない一冊でした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
恋愛小説
- 感想投稿日 : 2014年1月29日
- 読了日 : 2014年1月29日
- 本棚登録日 : 2014年1月29日
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