高校時代を共に過ごした4人の男女。卒業してから20年もの間途切れずに続く彼らの絆を、交わされた手紙、FAX、メモなどだけで綴る物語。
高校時代の同級生4人とその関係者たちが交わした文章のやり取りだけで20数年の軌跡を追う一風変わった形式の小説です。「手紙」だけで展開するわけではないですが、一種の書簡体小説と言えるのでしょうか。
特定の対象しか読まない事を前提とした、秘密のやり取りを盗み見ているようでちょっとドキドキします。
今は誰もが携帯を持つようになり、こまめな手紙のやり取りや授業中に友人にメモをまわしたり、交換日記などもそうそうやったりはしないのかもしれませんが、私とは年代がずれているとはいえ、こういった密やかな交信、文章ならではの口語とは違うすこしふざけた、あるいは格好をつけた独特の空気感は学生の頃を思い出して何だか懐かしかったです。
読者に提示されているのは、誰かが文章におこした部分でしかないので、具体的な出来事などは明確にはわかりません。推察による部分がとても広い小説だとは思いますが、だからこそ色々考えられて心に残るのかな。
個人的には、優子が好きでした。頑張り屋で自立し、芯があるようでいて、どこか自分を押し殺し屈折している所のある女性。幸せになってほしいですね……。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年2月11日
- 読了日 : 2023年2月11日
- 本棚登録日 : 2023年2月11日
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