哀愁の町に霧が降るのだ〈上巻〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1991年10月30日発売)
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感想 : 64
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久々に読み返しました。

椎名氏本人も意図していたか不明ですが、この作品
からサラリーマン3部作へと続き、本の雑誌社編へ
と繋がっていきます。

一大私小説シリーズの幕開けの書なのです。

自身の苦悩やバカな行動はあますことなく書き連ね
て、その内容が文学的であるかは別として、評論家
に「現代の太宰治」と言わしめていた下りがありま
した。そこは以前読んだ時から忘れていました。

確かにそれまではこういうスタイルの小説は無かっ
たのではないかと思います。自分自身を削って書く
ことになるからまさに太宰の世界だ。

椎名氏の青春の入り口に太宰の暗さはなく、まぶし
いばかりの一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年12月8日
読了日 : 2022年4月6日
本棚登録日 : 2022年4月6日

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