怪物はささやく

  • あすなろ書房 (2011年11月7日発売)
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本棚登録 : 1178
感想 : 200
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本作の内容も、著者(シヴォーン・ダウド、パトリック・ネス)のことも知らずに手にした本書。

これって児童書ですよね...

主人公は13歳の少年コナー。

毎夜悪夢にうなされ、学校でもイジメにあい辛い日々を送っています。

しかし、本当に辛いのは大好きな母親が病気にかかり日々弱っていくことで、コナーはどこかで母親が助からないと思っていること。

そして、そんな状況から早く抜け出したいと願っていること。

毎夜うなされる悪夢の中で、助けを求める母親の手をコナー自身が放してしまう。

大切なものを繋ぎ止める為に掴んだ手を自らの意志で放してしまう。

そんな矛盾を人間は持ち合わせているという事実。

あまりにも深い。

ハッピーエンドではない児童書で、ただ毎日を過ごしているだけの大人が読むべき一冊。

説明
内容紹介
2017年6月、待望の映画化!
47歳で亡くなったカーネギー賞作家シヴォーン・ダウドの遺したアイディアを、
2011年にカーネギー賞を受賞した気鋭の作家パトリック・ネスが引き継ぎ完成させた、喪失と浄化の物語。
13歳の少年コナーは、“それ"を飼い慣らし、乗り越えていくことができるのか・・・・・・?
内容(「BOOK」データベースより)
ある夜、怪物が少年とその母親の住む家に現われた―それはイチイの木の姿をしていた。「わたしが三つの物語を語り終えたら、今度はおまえが四つめの物語をわたしに話すのだ。おまえはかならず話す…そのためにこのわたしを呼んだのだから」嘘と真実を同時に信じた少年は、なぜ怪物に物語を話さなければならなかったのか…。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ネス,パトリック
1971年、米国ヴァージニア州生まれ。南カリフォルニア大学卒業。1999年に渡英。一般向け読み物を2冊出版した後、YA向けの3部作“Chaos Walking Trilogy”シリーズを刊行。第3巻でカーネギー賞を受賞

ダウド,シヴォーン
1960年、英国ロンドン生まれ。オックスフォード大学を卒業後、国際ペンクラブで人権擁護などに携わる。デビュー作の“A Swift Pure Cry”でブランフォード・ボウズ賞を受賞。2007年に逝去。書きためていた3、4作目が死後刊行され、『ボグ・チャイルド』(ゴブリン書房)で2009年カーネギー賞を受賞

池田/真紀子
1966年、東京生まれ。上智大学卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月21日
読了日 : 2022年2月21日
本棚登録日 : 2022年2月20日

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コメント 2件

NORAxxさんのコメント
2022/02/22

ヒボさん、こんばんは^ ^
なんとも心にずっしりと来そうな作品ですね...。後悔を題材にした物語(想像ですが)は私自身心当たりがなくとも心苦しくなってしまうので、暗黒書物大好きマン唯一の苦手分野です。でも何故だろう、ダークファンタジー要素があるんですかね??唆られてしまいました。
そしてまたもやタイムリーな偶然なのですが、この作品の翻訳をした池田真紀子さん。私が先日読んでいたボーンコレクターの翻訳家様と同じ方でした!!ビックリですΣ(๑º ロ º๑)

ヒボさんのコメント
2022/02/22

NORAxxさん、おはようございます。
ボーンコレクターと同じ翻訳家さんだったんですね!(◎_◎;)
気づいてませんでした^^;
本作はまさにダークファンダジーでしたよ。
なんてったって家の裏にあるイチイの木が怪物となってコナーの前に現れちゃいますからねぇ。
でも、何より児童書とは思えない精神性というか心の内側を描いた作品でした。
こんな一冊に出会えるのでジャケ書いもやめられません(笑)

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