山月記 (立東舎 乙女の本棚)

著者 :
  • 立東舎 (2020年4月17日発売)
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感想 : 51
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いい(´∀`)♪

唐代の中国を舞台に、詩人になる夢を果たせずに虎になってしまった李徴という男が、かつての友人である袁傪に自分の運命を語るという物語です。

李徴は若くして科挙に合格しましたが、自尊心の高さから役人の職を辞めて詩人として名声を得ようとしました。しかし、詩作に没頭するあまり家族も顧みず、文名も得られず、貧困に苦しみました。再び役人として働くことになりましたが、出世した知り合いや後輩の命令に耐えられず、発狂して山へ消えてしまいました。そして、いつの間にか虎の姿に変わってしまいました。

袁傪は監察御史となって旅をしているとき、李徴が虎になったことを知ります。李徴は茂みから出てこないまま、自分が虎になった理由や苦悩を告白します。李徴は自分の「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」、「怠惰な詩業」が原因だと気づきます。李徴は袁傪に自分の詩と妻子への計らいを託し、姿を消します。

以上が山月記のあらすじです。この作品からは、人間として生きることの難しさや美しさを学ぶことができます。

偶因狂疾成殊類 災患相仍不可逃
今日爪牙誰敢敵 当時声跡共相高
我為異物蓬茅下 君已乗軺気勢豪
此夕溪山対明月 不成長嘯但成噑

偶然にも狂気で異なる生き物になってしまった 災難が次々とやって来て逃れられなかった 今日、私の爪と牙に敵う者は誰だろうか? あの頃は名声と尊敬を得ていたのに 私は今や雑草の下の異物 あなたはすでに高い地位に上り詰めて力を持った 今夜、私は山と川の明るい月を見つめる 長い詩を歌うこともできず、ただ吠えるだけ
(ChatGPTにて)

人生、友情、苦悩...
時代設定が唐代の為、「乙女の本棚」シリーズとはいえ、少し読みにくい文体でしたが、それを補って余りあるねこ助さんのイラスト。

この世界観、いい♪



人気シリーズ「乙女の本棚」第15弾は中島敦×イラストレーター・ねこ助のコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

「その声は、我が友、李徴子ではないか」?
袁傪は旅の途中、旧友の李徴と再会した。だが美少年だった李徴は、変わり果てた姿になっていた。
中島敦の『山月記』が、書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどで美麗な人や獣を描き本シリーズでは新美南吉『赤とんぼ』を担当する大人気イラストレーター・ねこ助によって、鮮やかに描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

内容(「BOOK」データベースより)

中島敦の『山月記』が、書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどで美麗な人や獣を描き本シリーズでは新美南吉『赤とんぼ』を担当する大人気イラストレーターねこ助によって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第15弾が登場。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

中島/敦
明治42年(1909年)東京生まれ。東京帝国大学卒業後、教員生活を経てパラオ南洋庁への勤務をしながら執筆活動を行う。喘息のため33歳で病没

ねこ助
鳥取県出身のイラストレーター。書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどのイラストを手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月8日
読了日 : 2023年8月8日
本棚登録日 : 2023年8月8日

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コメント 4件

なおなおさんのコメント
2023/08/10

ヒボさん、こんばんは。
私もこの世界観が好きです。
ねこ助さんの絵もマッチしていますよね。人間と虎それぞれの時の擬人化の描写(←意味不明ですみません^^;)が素敵でした。
今のところ、乙女の本棚シリーズの中で一番好きかも。

ヒボさんのコメント
2023/08/10

なおなおさん、こんばんは♪
この世界観、たまりませんね( ̄¬ ̄)ジュル
シリーズ初の☆5つつけちゃいました♪
猫写、わかりますよ~(笑)

ちなみに、今日借りた「刺青」も☆5つつけました!!

かなさんのコメント
2023/08/10

ヒボさん、こんばんは!
すごいっ!漢詩を、chatGPTで??
イケてますっ(*^^*)

ですね、本当に山月記の世界観…
私も結構好きです♪

難しいなぁ…って読み始めは思ったけれど
それでも読みたいからと読んでよかった作品です。

ヒボさんのコメント
2023/08/11

かなさん、こんばんは♪

漢詩の要訳のみならず、本書の感想をどう残すかに悩み(今までと少し違った感じにしたくて)、唐代の中国~漢詩の訳までをChatGPTに頼ってみました^^;
その下、人生、~いい♪までが私の感想です(笑)

因みに新潮文庫版は長期積読中^^;
先に本書を読んでおいて正解な気がしていますが、いつか、きっと、そのうち、読める日が来ると思います^^;

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