安楽死というものの是非に関しては結論は出ないというか、普通に考えたら延命という事が人道的であると判断されるのが理解しやすいです。
しかし、クオリティーオブライフを維持しながら死を迎えたいと考える人は、とても多いであろうことも分かります。自分自身だって苦しみぬいて死にたいなんて思わないですから。
自分で選択する「死」については、去年ノンフィクション大賞を獲った「エンドオブライフ」で大ぴらに議論のまな板に乗ると思いましたが、意外と話題にならなくてびっくりしました。これからの高齢化社会の中で自分で選択する人生の終焉を、いま議論しないでいつするのやらと思います。
さて、本作は安楽死を請け負う「ドクターデス」と警察の攻防を描いています。結構警察が優秀なのでさくさく追い詰められていくドクターデスに拍子抜けしますが、ところがどっこいの展開も有りとても楽しめました
エンターテイメント性は高くぐいぐい読まされつつも、分かりやすく僕らに安楽死をどう考えるのかという命題を突きつけます。
本当に救うとはどういう事なのかを真剣に考えると、思考の迷路に迷い込みそうになりますが、もし自分や身内だった時に、どうして欲しいのかと考えた時に、やはり自分で命の終わりを選択したいという思いはあります。
難しい命題ではありますが、物語の世界では結構手あかが付いているとも言えますが、かなり妙味深い作品でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2021年7月14日
- 読了日 : 2021年7月13日
- 本棚登録日 : 2021年7月13日
みんなの感想をみる