この本は読売新聞社がまとめた東海村臨界事故の経過をまとめたものです。現在この本は絶版ですので、出来ることでしたら一刻も早い再刊を望みます。『この道はいつか来た道』不謹慎ですが読後にそう感じました。
この本を読むきっかけとなったのは先日紹介した『朽ちていった命』の解説の中に参考文献のひとつとしてあげられていたというのがきっかけでありました。やはり、新聞社の取材班がまとめただけのことはあって、なぜ、事故が起こってしまったのか?ということについて事実に迫ったものであり、大内さんの事件を扱った『朽ちていった命』と読み比べてみると、事件の全体像と個人との対比が自分の中で出来て、そういった意味ではいいものだったかな、と考えています。
僕は実際に行ったわけではありませんので詳しいことはあまりかけませんが事故の直後、東海村に掲げられていた『原子力の村』というスローガンは直ちに外されたそうです。そして、ここの中に記されている事故後の様子が現在の福島第一原子力発電所の原発事故後に日本全国で起こっていることの縮図になっている、そんな気がしてなりませんでした。
現在、この本は絶版のようなので、出来ることならお近くの図書館や古本屋を回って興味のある方は読んでいただきたいと考えていますが『この道はいつか来た道』――。しきりに騒がれている『想定外』という言葉がいかに空疎なものであるのか。それを確認していただければ幸いに思います。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年1月25日
- 読了日 : 2012年1月25日
- 本棚登録日 : 2012年1月25日
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