東電OL事件 - DNAが暴いた闇

  • 中央公論新社 (2012年11月8日発売)
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本書は2012年度新聞協会賞を受賞したスクープのドキュメントだそうです。新たなDNA鑑定が事件の闇を暴き出し、再審への流れが新聞社ならではの筆致で描かれております。いまだに謎の多い事件ですが…。

15年の歳月を経て再審が可決した「東電OL殺人事件」事件当時の様子や、被害者であったA子(本書に倣いここではこう記す)の日常から話題となった事件で、ゴビンダ・プラサド・マイナリという一人の人間が容疑者とされ、長きに渡る拘束の末に釈放され、家族の下へ帰ったというニュースを聞いたときには、本当に胸をなでおろしたことを覚えております。

ここでは、読売新聞の社会部がこの事件の「真相」を追ったスクープの記録です。新聞社の人間が書いた文章ということで、この事件の存在を一躍勇名にした佐野眞一氏の『東電OL殺人事件』のようなぐいぐいと引き込ませる『情念』のようなものは感じられなかったのですが、詳細な取材を丹念に積み重ね、『真実』をあぶりだそうとするその姿勢はとても頭が下がる思いでした。

DNAによる情報解析に基づく捜査が格段に進歩したおかげで、この結審が出たのでしょうが、現在でも謎の多い事件であることは間違いありません。僕自身がいまだにこの事件に執着しているのも、その禍々しいまでの『業』の深さによるものなのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年10月17日
読了日 : 2013年10月17日
本棚登録日 : 2013年10月17日

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