経済による教育格差を是正しようと活動するNPO法人、TFA(ティーチ・フォー・アメリカ)の日本法人TFJ代表である筆者が綴った手記です。淡々とした筆致の中に漂わせる深い『自信』が窺えました。
僕がTFA(ティーチ・フォー・アメリカ)の存在を知ったのはテレビの深夜帯ニュースの特集で、
「こういう取り組みをしている人たちがいるんだ!?」
という新鮮な驚きとともに、その走者であるウェンディ・コップ女史の自叙伝を読んでいたことがあるのですが、本書は彼女の理念に共感し、日本でその現地法人、TFJ(ティーチ・フォー・ジャパン)を立ち上げ、その代表となっている方の手記です。表紙に写っている彼の顔を見ていると『嵐』の櫻井翔君に少し似ているような気がしました。
筆者が教師を志すようになったのは自身をいじめと暴力から救ってくれた教師との出会いがきっかけであったそうで、このときの出会いは後の人生に大きな影響を与えるなということをつくづく感じました。長じて筆者は必死の勉強の末、日大文理学部体育学科と早稲田大学商学部に合格するのです。体育教師になりたいという志から、彼は日大理学部体育学科へと進学します。
そこで彼は中学2年生を対象とした無料の塾をやったり、ピザーラのアルバイトを極めていったりするわけですが、自分の夢のためにハーバード大学に留学を決意することになるのです。大学受験時庭をかけたような壮絶な受験勉強の末にハーバード大学に合格し、そこでのウェンディ・コップ女史との運命的な出会いをきっかけに彼はTFAの日本法人を志すようになります。
最初はコンサルディングファームとの『二束のわらじ』であったので、暗礁に乗り上げる部分も会ったのですが、筆者が専従になったことをきっかけに持ち直し、TFJが発足されたそうです。しかし、寄付文化が根付かない日本という土壌ではなかなか運営、維持が大変なのだそうです。筆者のように志の高い人の事業が少しでも多く、また長く継続できればなと、心から願ってやみません。
- 感想投稿日 : 2013年10月20日
- 読了日 : 2013年10月20日
- 本棚登録日 : 2013年10月20日
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