「ヤメ検』弁護士の田中森一氏と、佐藤優氏による19時間に及ぶ対談で話した内容を活字化したものです。2008年にこの本は出版されましたが、二人が指摘してきたような世の中になりつつあることを危惧します。
本書は『闇社会の守護神』の異名を取った「ヤメ検」弁護士の田中森一氏と鈴木宗男バッシングに連座して『小菅ヒルズ』に512泊513日宿泊し現在は作家として活躍されている佐藤優氏が田中氏が19時間に渡って対談で話したことを活字・書籍化されたものでございます。いやはや…。この本は危険です。本当に読んでいて危険なものだと感じてしまいました。
この本が出版されたのは2008年のことなんですけれど、それから時がたち、彼らの指摘したことが悪い意味で現実になりつつあるということがわかって、なんともいえない気持ちになりました。語られたものをざっとかいつまんで書くと国策捜査とは。外務省と検察庁。お互いの組織の持つ『病理』について。拘置所。獄中暮らしで見聞きしたもの、または自分が体験したこと。日本とロシアの闇社会の違い。お互いの勉強方法から、部下に対する接し方、教育方法にいたるまで、縦横無尽に語られていて、彼らの持つ経験の稀有さや、たどってきた人生の重み、世の中が必ずしも『清い部分』だけで構成されていない、ということを改めてうかがい知ることができて、非常によい読書体験でありました。
田中氏がバブル時代に付き合ってきた『闇紳士』たちの度胆を抜くようなエピソードや、佐藤氏の語る拘置所暮らしの経験。または検察庁とインテリジェンス業務にかかわる人間の情報収集の違いなどが、つぶさに語られていました。田中氏は上告が棄却されてこの本が出た頃に『お勤め』に入られたそうです。しかし、彼のような存在は『白川の、清き流れに…』というような世の中になりつつある中で、貴重な存在であることは疑いもないと思っていますので、出所後も世のためヒトのためにその力を尽くしていただけるとうれしく思っています。
- 感想投稿日 : 2012年2月15日
- 読了日 : 2012年2月15日
- 本棚登録日 : 2010年11月6日
みんなの感想をみる