伯爵と妖精 ロンドン橋に星は灯る (コバルト文庫)

著者 :
  • 集英社 (2007年3月1日発売)
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感想 : 45
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私、この表紙がすごく好きです(最初の感想がそれかい)

冒頭のエドガーとカールトン教授の話に、父親の…家族の愛を感じました。
エドガーの偽りのない言葉に、教授もようやく貴族としてでなく彼本人を見てくれるようになったのは、この時のエドガーの話が素の彼だと思ったからじゃないのかな。

にしても本編での展開が記憶のないエドガーの話な今、ここで記憶が欠落しているリディアの話と言うのも面白い対比です。
記憶がなくてもエドガーを追っていくリディアに、彼女の母であるアウローラが恋をした時を思い出すニコが切なかった。
妖精から見たら、人の恋はどんな風に映るんだろう。
少なくともニコは「馬鹿だなぁ」と思いつつも、眩しく思っているような気がします。

しかしこんなに早くにエドガーがプリンスの記憶を引き受けていたんだっけ、とそっちが衝撃でした。
何となく、結婚の直前くらいのイメージでいたので…。
そういう時間齟齬が私の中で良くある。
それがまた再読の楽しみなんだけどねー

リディアと正式な婚約。
嬉しいはずなのに、今まで以上にというか、今までは外敵に対しての彼女の影響を心配していたエドガーが、それを自分の身の内に取り込んでしまったことで、別の不安が付き纏う結果に。
これは現在進行形で続いている不安の種ですが、この方法が最良だったとは思わなかったけど、この状況じゃこう判断するしかなかったというのは分かる。
いつでもその場で出来る最良のことを、というエドガーの心意気は伝わるエピソード。そして復讐ではなく「貴族の義務」としてプリンスと対峙することを決めた彼が、本当に変わって行っているんだという実感を摑めた巻でした。
それがあるからこそのカールトン教授の返事なんだろうなぁ。
プロローグとエピローグの対比が、とてもいい感じです。
まあそんな感傷だけではないいろいろが次巻からやってくるけど…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年6月10日
読了日 : 2012年6月10日
本棚登録日 : 2012年6月10日

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