山本周五郎氏の自伝的小説といわれる。確かに、一人称の物書きの視点で書かれている。
物語は、江戸川河口近くの地域が気に入って数年移り住んだ「先生」が、現地の人々とのやり取りや生活を描いたもの。手漕ぎボートのようなぼろ船を売りつけられ、それが青べかと呼ばれて地元の子にからかわれる。川岸に絵を書きにいったり、聞いたエピソードを小説に仕立てたりして、ほとんどは実際に著者が体験した実話のようだ。最後に、30年後に同じ土地を訪れてみた感想があり、興味深い。
各小話は3ページほどと短く、独特の言葉遣いにも読むうちに慣れてくる。が、なかなか感情移入もできず、なにしろ地元の人が良く言えばしたたか、悪く言えば隙を見せるとすぐつけこむのに嫌悪があった。当時(1920年代か?)の生活を考えると仕方ないのかもしれないが。
先日読んだ「赤ひげ診療譚」のほうが面白かった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年1月9日
- 読了日 : 2020年1月9日
- 本棚登録日 : 2020年1月9日
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