殺意の対談 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2017年4月25日発売)
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本棚登録 : 498
感想 : 56
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対談記事の上辺だけの会話&真実の心の声で物語が展開! 人間不信の闇に浸れるミステリー #殺意の対談

■きっと読みたくなるレビュー
雑誌記事の対談形式で綴られる本作、しかしながら対談中の登場人物たちの心の声も同時に描写されるという人間性を垣間見れるミステリー。各記事ごとに短編形式になっていますが、対談が進行するにつれて…

面白い試みですね。さすが元お笑い芸人の藤崎先生らしい、読者をニヤニヤさせてくれるサービスが満点です。かなり邪道な構成ではありつつも、物語としてもよく組み立てられていて見事。練りに練った小説であることが伺えます。

本作、十重二十重にも入り組んだ人間関係がめちゃくちゃ面白い。
ちょっとやり過ぎて説明描写が多いのが気になりますが、各キャラクターのゲスい人間性と黒い関係性が強烈で、読んでてニヤりとすることが多かったです。いやー私ったら性格悪っ

登場人物で特に大好きなのは、とある女優。
変態的な価値観が大好き!こんな悪女にギタギタにされるくらい、男前に生まれたかったなぁ~ まぁでも、今もそれなりに幸せだからいいけども。

思いっきり人間不信に陥ること請け合いの物語ですが、馬鹿馬鹿しくて楽しい気持ちにもなれる奇妙な作品でした。面白かった!

■きっと共感できる書評
本作のあまりにも低俗な登場人物たちを見ていると、ふと現実に起きている悪事について考えてしまいます。

詐欺や強盗などの犯罪が絶えないことが、本当に残念でなりません。きっと悪いことに手を染めてしまう彼らも、やりたくてやっている訳ではない人も多いでしょう。

もし生まれながらにして自身を守るために嘘や暴力を働かなくてはいけない環境ならば、自然と悪の人間性が培われてしまうでしょう。素直に優しく生きていくには、ほんの少しでも幸せの感情がないと難しいのかもしれませんね。

ありがたいことに、今の私は人を裏切ったり、迷惑をかけずに生きていられる。父と母、たくさんの友人、仕事仲間、そして今の家族に感謝したいと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2023年1月29日
読了日 : 2023年1月28日
本棚登録日 : 2023年1月28日

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