ナイフをひねれば (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2023年9月11日発売)
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本棚登録 : 1495
感想 : 114
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★5 そんなとこに重要な手がかりあったの?! 重厚で高品質なドエンタメミステリ #ナイフをひねれば

■あらすじ
ホロヴィッツが舞台の脚本の仕事を取り付け、まさに今日が舞台の初日。満席の大喝采で舞台が終了し、役者や演出家たちと打ち上げパーティーに参加する。劇の評価が気になる関係者たちだったが、一番に出た劇評ではひどい酷評がされており、一同は完全に激怒。しかし翌日、その劇評家が死体で発見されてしまい…

■きっと読みたくなるレビュー
はぁ~悔しい。今回も見抜けなかった…

かなり情報は出ていて、たぶん犯人と動機はこういう繋がりなんだろうというのは予想がつくんですよ。でも、これだっ!という手がかりがワカンナイ。そして肝となる仕掛けの部分も閃かない…

終盤の解法パートで明かされる数々の種明かしが、これまた納得なんですよ。だからこんなことになっているんだ!という腹落ち感とか、「えええぇっ、そんなところに重要なヒントが忍ばせてあったの?!」という伏線がエグイ。そりゃ面白いわ。

今回のお話、まさかのホロヴィッツが〇〇されちゃうんですよ。正直、爆笑しました。ミステリーとしては中盤までは比較的シンプルな進行でわかりやすく、後半から徐々に人間関係が混沌としてきて、ミステリー味が倍増していきます。

本シリーズは毎回そうなんですが、登場人物たちの設定や描写が最高なのよ。相変わらずホーソーンとホロヴィッツの価値観のズレ具合が酷く、でもお互いなくてはならない相棒という、まるでコントみたいな関係性。
刑事たち厭味ったらしくは迫ってくるし、被害者の特徴もありありと伝わってくる。容疑者たちも背景や人間味がたっぷり描かれ、みんな犯人に見えてきちゃうんです。これでいつも煙に巻かれるんだよなぁ

そして事件の真相ですよ。当初からは思いもよらなかったところに着地するんです。一見腹立たしい事件だったはずが、こんなにも切ない想いに包まれるとは…

毎度のことですが、最高のドエンタメ本格ミステリーです。本作も本年度の海外ミステリーのトップレベルに違いない。はぁ~面白かった。

■ぜっさん推しポイント
本作、ホロヴィッツ脚本の舞台演劇に対する劇評部分があるんですが、皮肉っぷりがめっちゃ面白いの。私もこんな感じで書評を書いてみようかしら。まさか殺されちゃうかも…(私にそんなに影響力はない)

あとやっぱり現実のホロヴィッツが書いた舞台や映像作品を見てみたり、日常をもっと知りたくなっちゃいますね。ファンとしては現実と創作の狭間を追ってみたくなります。まだまだ続くホーソーンシリーズ、これからも目いっぱい楽しみたいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本格ミステリー
感想投稿日 : 2023年9月14日
読了日 : 2023年9月14日
本棚登録日 : 2023年9月14日

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