伽古屋さんの大正もの。
本書は、東京・神保町の裏通りにある古書店<ねんねこ書房>の店主・根来佐久路が、本業の傍ら受けている“萬相談”にて数々の謎を解いてく、連作5話が収録されています。
ライトに読める“日常系謎解き”なのですが、面白いのは店主の佐久路さんが店員のこよりにヒントとなる書物を渡して、まずはこよりに大まかな謎解きをさせてみるところですかね。
芥川龍之介「羅生門」、永井荷風「ふらんす物語」など有名どころからマニアックな書物まで、さすが古書店を舞台にしているだけありますね。
さらに第5話「文豪の尋ね人」では、永井荷風先生ご本人が登場しちゃいます。
そして、伽古屋さんの別の大正モノの作品とのリンクもお楽しみ。『なないろ金平糖 いろりの事件帖』に出てきた<白栗庵>の饅頭や、佐久路さんの台詞で「知り合いに変な発明に勤しむ変な男がいる」というのは、『からくり探偵』の柿三郎先生の事だよね?と思わずニヤついた私です。
やんちゃな双子・佐良と久良もいい味出てますし、彼らの母親で佐久路さんの“捜し人”の件など、掘り下げてほしい背景もありますので、是非続編を期待したいところです。
読書状況:読み終わった
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2022年読了分
- 感想投稿日 : 2022年4月12日
- 読了日 : 2022年4月12日
- 本棚登録日 : 2022年4月12日
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