世界から猫が消えたなら

著者 :
  • マガジンハウス (2012年10月25日発売)
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 参った。泣けた。泣けました。家族とか動物とか、死とか、そんなテーマの作品読んで泣かずにいられますかい。涙腺決壊ハンパなかったです。

 もし自分の余命があとわずかだと知らされて、目の前に悪魔が現れて、「あなたは明日死にます。けれど、あなたの大切なものと引き換えに、寿命を一日延ばしてあげましょう」といわれたら・・・?

 彼が悪魔から消されたものは、電話と映画と時計。
 確かに、電話も映画も時計も、人間がこの世を生きていくには、そこまで必要のないものなのかもしれない。 
 けれど、「「僕」は気づく。これらの必要のないものたちに、自分はいかに支えられ、形作られていたのかということを。

 そして、泣けたのは「死ぬまでにしたい10のこと」
 死ぬまでに何がしたいのかを書き出すリスト。
 このリストには、自分が死ぬまでにしたいことを、誰しも書くはず。
 あそこへ行きたい、あれが見たい、あの子に会いたい・・・

 けれど、「僕」のお母さんは違った。

 「私が死ぬまでにしたいことは、全部あなたにためにしたいことだったのです」
 
 ああ、人は気づかない。大切なものに、最後まで気づかない。何よりもしなくてはいけないことを、どうしても後回しにしてしまう。
大切なものは、こんなにそばにあるのに。そばにあるからこそ、先延ばしにしてしまう。いつ会いに行っても会える親よりも、不在着信が入っていた久し振りの友人や彼女を優先してしまう。ああ、ああ。気づいてからでは遅いのだ。いなくなってからでは、遅いのだ。

 この作品を読んで、手紙を書かなくては、と思いました。大切な人たちに。普通のあのハトの切手ではなくて、色とりどりの記念切手で、大切な人たちに手紙を書かなくては。と。

 大切なものは、得ている間に、大切にしていきたいと、そう、強く思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 川村元気
感想投稿日 : 2013年6月17日
読了日 : 2013年6月12日
本棚登録日 : 2013年6月17日

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