真夜中だけオープンしているパン屋さん。
じんわりとあったかくてパンのおいしさが
目にも味覚にも広がるようなふわふわした…
と、予想してたら、胸がぎゅっと苦しくなるお話が
いろいろ詰まっていて、読み進めるほどに
えぇ!?こんなことも起きるの!?と、びっくり!
おいしいパンに恋の話をからめて…なんてふわっふわしたお話じゃなく、
主人公の女の子"希実ちゃん"はカッコウの子供(ほとんど他人の家に
預けられて育ってきた)だったり、こだまくんとネグレクトのママ、
いつも笑顔で心に何か底知れぬ闇を持つオーナー、
ぶっきらぼうだけど優しい、でもいろいろ問題多々なパン職人の弘基。
腹違いの姉という謎の嘘に包まれた美和子さんとの関係。
カッコウの母の本質と真意。
悲しい想いをたくさん抱えているのに、いっぱいの楽しいを
用意して、いつか帰ってくるだろう母を待つ小学生のこだま。
捨て置かれてもなお母親の幸せをいっぱい願ってるこだまが切ない。
「だって悲しいは、いっぱいあるし。
だから楽しいを、たくさん拾って集めなきゃ。」
素直なままこだまがいっぱいの幸せに包まれてほしいな。
パン屋さんを訪れる人たちも個性的。
のぞき魔で変態[笑]の斑目さん、みんなにも元気な魔法を
かけてくれるソフィアさん、たくさん間違ってきたけど
本当の愛を大切にこれからがんばってほしい織江さん。
すっかりもう心の中に住みついてくれた人ばかり。
いろんな謎を残しつつ、それぞれの傷を抱えつつ、
今日も穏やかにオープンしているだろうブランジェリークレバヤシ。
そのお店からもれるオレンジ色の光を想うとあったかくなる。
どんどんファミリーは増えていくのか、みんなの成長や葛藤、
それぞれがどこに向かっていくのか続きが楽しみ!
- 感想投稿日 : 2013年6月19日
- 読了日 : 2013年6月19日
- 本棚登録日 : 2013年6月19日
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