阿紗は思わぬ出会いから、
隣に住む老婆・八重の部屋の片づけをすることになるのだが…
私の中で「片付け」といってまず頭に浮かぶのは”こんまりさん”。
その他にも「片付け」を仕事として
マスコミで取り上げられる方も多数いらっしゃる。
その方々に共通して持つ私のイメージは
”明るい”・”強い”・”行動的”
などなど、肯定的なイメージだ。
書籍紹介を読んでいると
阿紗にもまたそんなイメージを抱いてしまいそうだが
彼女は全く違う。
この本を読み始めて最初に感じたのは
暗い…、重い…。
ちょっと変わった人と思われている老婆・八重の汚れた部屋。
それを片づける阿紗の雰囲気がまた暗くて。
どちらも望んで始めたわけではない片付けだから
当初、片づけることで得られるはずのスッキリ感が
読んでいる私には感じられず…
なんで片づけるんだ…、と思ってしまう始末。
阿紗と八重の関係が深くなっていき
お互いが心を許し始めたころから
仕方なく始めた片付けは
意味のあることに変わっていった。
八重にとっての片づけは終活でもあったが…
終活のための片づけって
昨今、やたら耳にするけれど…
「終活ってのはさ、身辺整理じゃないんだよ。
身の回りのもんをどんどん仕分けして、
この人生で得たいちばんの収穫をみつけることだ」
(『片をつける』より引用)
終活=片付け(断捨離)のイメージが先行して
ちょっと否定的な気持ちになっていた私だが
”人生の収穫をみつけること”と考えると
捨てたもんじゃないなぁ。
八重の言葉が素直に沁みた。
- 感想投稿日 : 2024年3月10日
- 読了日 : 2024年3月10日
- 本棚登録日 : 2024年3月10日
みんなの感想をみる