片をつける

著者 :
  • ポプラ社 (2021年3月17日発売)
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感想 : 26
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阿紗は思わぬ出会いから、
隣に住む老婆・八重の部屋の片づけをすることになるのだが…


私の中で「片付け」といってまず頭に浮かぶのは”こんまりさん”。
その他にも「片付け」を仕事として
マスコミで取り上げられる方も多数いらっしゃる。
その方々に共通して持つ私のイメージは
”明るい”・”強い”・”行動的”
などなど、肯定的なイメージだ。

書籍紹介を読んでいると
阿紗にもまたそんなイメージを抱いてしまいそうだが
彼女は全く違う。

この本を読み始めて最初に感じたのは
暗い…、重い…。

ちょっと変わった人と思われている老婆・八重の汚れた部屋。
それを片づける阿紗の雰囲気がまた暗くて。
どちらも望んで始めたわけではない片付けだから
当初、片づけることで得られるはずのスッキリ感が
読んでいる私には感じられず…
なんで片づけるんだ…、と思ってしまう始末。

阿紗と八重の関係が深くなっていき
お互いが心を許し始めたころから
仕方なく始めた片付けは
意味のあることに変わっていった。

八重にとっての片づけは終活でもあったが…
終活のための片づけって
昨今、やたら耳にするけれど…

「終活ってのはさ、身辺整理じゃないんだよ。
身の回りのもんをどんどん仕分けして、
この人生で得たいちばんの収穫をみつけることだ」
(『片をつける』より引用)

終活=片付け(断捨離)のイメージが先行して
ちょっと否定的な気持ちになっていた私だが
”人生の収穫をみつけること”と考えると
捨てたもんじゃないなぁ。
八重の言葉が素直に沁みた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他・あ行の作家
感想投稿日 : 2024年3月10日
読了日 : 2024年3月10日
本棚登録日 : 2024年3月10日

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