格差と階級の未来 超富裕層と新下流層しかいなくなる世界の生き抜き方 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社 (2019年1月19日発売)
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感想 : 11
5

お金の歴史,富の集中の歴史がわかり説明され,とても勉強になる.著者の頭の良さが感じられ,読んでいて楽しい.

要点としては,グローバリゼーションによりアメリカを中心とするグローバル企業に富が集中する.そこで儲けているのはそうした企業に投資している資本家であり,あなたもその資本家になるべき,ということ.新しい主張ではないだろうが,主張を導くまでの論理に圧倒される.

そのほか印象的だった内容としては,
・労働人口が減っている業界とは,機械化・効率化が進み,搾取のレバレッジが十分に進んだ業界.その途上にいるのがサービス業で,だからこそ今は労働人口が多いが,いずれAI・ロボットにより同じ道程を辿る.
・非正規雇用が浸透したのは,IT化によって職場での長期間のとれを経ずとも戦力にできるようになったのが大きい.
・最近の世代は,マズローの欲求における第五段階(自己実現)を目指さず,第四段階(所属と愛)の承認欲求をひたすら深く目指す.スマホとインスタ.
・世界のごく一部の金持ちに富が集中するこの流れを「変えなければいけない」という人が世界中に山ほど存在しているのに、その流れを「こうすれば変えられる」というアイデアはまだ現れない.それが現れたときが,富裕層セントリックの流れが終わるときであり,それはAIによってもたらされると予想.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人生・思想など
感想投稿日 : 2020年3月15日
読了日 : 2020年3月15日
本棚登録日 : 2020年3月15日

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