ミステリの女王、アガサ・クリスティの記念すべき第一作。ポアロと相棒のヘイスティングズの最初の活躍が楽しめる。
資産家の女主人が毒殺された。彼女は、気前はいいが、お金で人を管理する傾向があった。自分では資産を持たない彼女の長男夫婦と次男、金銭面で彼女に世話になっている友人の娘、彼女の若い夫とその従妹など、登場人物はみな怪しい。ポアロとヘイスティングズは、残った手がかりをもとに犯人を探し出す。
殺人事件なので不謹慎かもしれないが、楽しい一作である。ただ、物語としても読ませるクリスティらしさは少なめで、純粋な謎解きゲームの要素が強い。だからかもしれないが、犯人がこの人なら、なぜあの場面であんなことを言わせたのだろう、としっくりこない部分があった。
とはいえ、なんといってもデビュー作。ちょっとくせのあるポアロと、美しい女性に弱く、紳士だが「いい人」で終わってしまう愛すべきヘイスティングズのキャラが全開で、初々しさを感じる作品である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
アガサ・クリスティー
- 感想投稿日 : 2021年1月3日
- 読了日 : 2020年11月12日
- 本棚登録日 : 2020年11月12日
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