狐火の家 「防犯探偵・榎本」シリーズ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2011年12月25日発売)
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本棚登録 : 268
感想 : 26
4

密室を取り扱った短編が四本入った短編集。それぞれ趣向が全く違って面白い

・狐火の家
探偵は家への進入路と脱出路を中心に推理を組み立てていくが、じつはこれがミスリードで「犯人はそもそも家から脱出していない」という盲点を突いている。
娘殺しの犯人は兄であり、その兄を父が殺して金塊と共に沈めた。30kgの金塊をもって逃げた強盗殺人犯は最初から存在しなかったのだ。

・黒い牙
猛毒蜘蛛に死んだタランチュラのガワを被せ、タランチュラだと誤認させて毒殺するという殺害方法に度肝を抜かれた。最初は蜘蛛メインの色物ネタかと思ったが、推理はかなり本格だった。

・盤端の迷宮
ハウダニットでなくワイダニットに焦点を向けた作品。
おそらく作品が書かれたよりも後だろうが、実際の将棋界でも対局中にAIを使っているんじゃないかと疑われた棋士がいたので、わりとすんなり謎は解けた

・犬のみぞ知る Dog knows
犬を餌付けして吠えられなくしたあと、超音波を向けて嫌われるようにしたというシンプルというか、割と雑なトリック
全体的にコメディ調であり、ミステリとしてはあまり見るべきところがないようにも感じるが、ラストにこの作品が配置されていることで読後感が軽くなるというのは解説の通りだなと思う

全作品短編ながらワトソン役のトンチキ推理も健在で、推理を重ねて真相に迫っていく面白さは長編と変わらなかった

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2022年9月28日
読了日 : 2022年9月28日
本棚登録日 : 2022年9月28日

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