胃が痛くなる仕事、『察してちゃん』で仕事が続かない恋人の安西、愛情を自分に向けてくれない親。そのどれをも投げ出さない、投げ出せない主人公、碧の真面目さや不器用さが、前半なんだか切なくて息苦しい感じだったのが、安西に「求婚」されて向かったはずの彼の故郷で「一人で」部屋を借り、(結婚に向けて)奮闘を重ねるうちに、だんだんといい方向へ向かっていく。
恋人といてもどこかいつも孤独だった主人公が、ちゃんと安心して自分らしく居られる場所を獲得していく物語です。
恋人の安西って男が本当にイラッとさせてくれるタイプで、なんでこんなのと別れないのかと読んでいてフラストレーションが溜まるのですが、親友の真百合の叫びでちょっとスッキリします。
「あんたらがそうやって『傷つきやすいから』とか『弱いから』とか言って甘やかすから、あの男はいつまでたっても弱いまんまなの!誰だって傷つくし、誰だって弱いの!けど誰でもみんな現実に向き合って生きてんの!」
ホントそれーーー!
安西父子はもっと酷い目にあってもいいと思うくらい。
「自分の居場所があらかじめ用意されてる人なんていないから。いるように見えたとしたら、それはきっとその人が自分の居場所を手に入れた経緯なり何なりを、見てないだけ」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年3月18日
- 読了日 : 2020年3月16日
- 本棚登録日 : 2020年3月16日
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