高慢と偏見 上 (岩波文庫 赤 222-1)

  • 岩波書店 (1994年7月18日発売)
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登場人物の心理描写の、なんと細やかなこと!ベネット家の次女エリザベスの目に映るダーシーはとことん高慢で無愛想なのに、ダーシーは抑えきれないほどエリザベスを思っていること、シャーロットの策略、上の者に媚びるビングリーの態度なども滑稽に描かれていた。ダーシーの突然の告白、エリザベスの拒絶、その後に届いたダーシーからの手紙で、あれほど熱心だったビングリーが急にジェーンのもとを離れてしまった理由と、ウィカムの裏の顔が明らかになる部分が一番盛り上がる。ダーシーに対するエリザベスの気持ちの変化はあるのだろうか?下巻が楽しみ。

p35
「高慢は、」と、考察の堅固なことを得意にしているメアリが言った、「誰にもある弱点だと思うわ。これまでわたしの読んだすべての本によって考えても、それは万人共通的のものだと思うのよ。人間の性質は、とかく高慢に傾きやすいんだわ。そして実際にせよ、想像だけにせよ、何かしら自分の特質に自己満足を感じない人は、ほとんどいないと思うわ。虚栄と高慢は、よく同じ意味につかわれる言葉だけど、まるで別なんだわ。虚栄がなくても、高慢な人もあるんだから。高慢は、自分自身をよく思うことだし、虚栄は、人によく思われたいってことなんだわ」

p132
しかしわれわれのうち誰一人として、始終一貫しているものはありません。

p194
「でも、ねえ、最上の場合を想像するとしても、その方の姉妹やお友だちたちが誰か別の人と結婚すればいいと考えている方といっしょになって、それでわたししあわせになれるかしら?」
「それはあなたが御自分できめなくちゃ」エリザベスが言った、「よくよく考えてみたうえで、その方の二人の姉妹の心に従わない心苦しさの方が、その方の奥さんになるうれしさよりも大きいなら、わたしはどこまでも、拒絶なさい、と忠告するわ」
「どうしてそんなふうに言えるの?」ジェーンはかすかな微笑をうかべて言った、「その場合だったら、御姉妹たちが賛成してくださらないのはとても悲しいことだとは思っても、わたしはちゅうちょしちゃいられないわ」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 岩波文庫
感想投稿日 : 2018年5月29日
読了日 : 2018年5月29日
本棚登録日 : 2018年5月21日

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