圏外編集者

著者 :
  • 朝日出版社 (2015年12月5日発売)
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本棚登録 : 801
感想 : 73
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編集者・都築響一さんのお仕事論&ポートフォリオ的な一冊。
「ちょっとめんどくさいけど、とてもアツくて親身になってくれる先輩」から、仕事の話を聞いているような気持ちになる。
都築さんの著書だと『夜露死苦現代詩』しか読めていないが、この本の帯に書かれている「多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。」という言葉に表れている人間臭さが、どの著書にも通底しているんだろうなということがわかった。
終盤、ウェブ編集に移行することで紙の制約を受けることなく届けたいコンテンツを編集できるようになったという話を読んで、「編集」ってなんだろうと改めて考えてしまった。
都築さんご自身も書かれていたが、編集者が伝えたいものをウェブ編集によっててんこ盛りできるようになったことで、読者に「長すぎる、多すぎる」と思われる可能性もある。
編集という作業には編集者の意図が多かれ少なかれ反映されるもので、あまりにもそれが前面に出過ぎても嫌だけど、逆にあまりにも「素材そのもの」だけを提供されるっていうのも、編集者の存在意義がおぼろげになってしまう気がする。バランスが難しい仕事だし、もうそこらへんは好みの問題なのかなあとも思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ・対談・自伝・評論
感想投稿日 : 2024年1月21日
読了日 : 2024年1月20日
本棚登録日 : 2024年1月20日

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