科学に疎いので、高峰譲吉を知らなかった。
でも、知らない人(あまり有名でない人)の伝記を読むのが好きなので、読んでみた。
高峰博士は幕末、富山の医者の家に生まれ、幼いころより父からエリート教育を受け、また本人にも優れた資質があったため、エリートコースをまっしぐら。アメリカにわたってタカジアスターゼとアドレナリンを発見し、巨万の富を築いたというんだからすごいじゃないの。
じゃあなぜ、野口英世と比べて認知されていないのか、というのは著者が考察しているので省くが、青年期までは超エリートで輝かしかったが、晩年は結構厳しかったのではないかと思う。ずっとアメリカに暮らし、妻はアメリカ人でありながら、最後まで日本文化に執着、国籍も変えなかった。アドレナリンの発見は、助手の手柄なのに横取り。長男はアルコール依存症の末転落死。妻は夫の死後23歳年下のカウボーイと結婚。
著者は博士寄りなので決して非難するような書き方はしないが、これ、うまい小説家が書いたら、結構面白い小説になったと思う。残念だ。
まあ、遺族や三共製薬や金沢市に配慮すれば、こんな本になってしまうのは仕方ないか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年6月30日
- 読了日 : 2014年6月30日
- 本棚登録日 : 2014年6月30日
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