若い兵士が、誰も来ない山の上の風車小屋を見張る命令を受け、一人毎日小屋を見張るが、まったく何も起こらない、という始まりで『タタール人の砂漠』みたいな話か?と思ったが、まさか同じイタリアの作家が真似するわけないしな、と思いながら読み進める。
乳牛を飼う老人と交流するうち、町は敵の爆撃を受けて、敵に占領されてしまう。
しかし、兵士は小屋の見張りの任務を解かれていないのだから、町に行くことはできない。
兵士が信じる「りっぱな兵士であること」と、人間として生きることの矛盾を寓話的に描いた小説で、子どもにも読みやすいとは思うし、悪くはないのだが。
ネズミの寿命は2年くらいだし、乳牛は妊娠・出産しなければ乳は出さない。(哺乳類は何だってそうだが。)
この本を読むと乳牛は一年中、妊娠・出産しなくても乳が出るみたいに思える。
老人は一人で暮らし、誰とも交流していないようだから、牛を交配させられない。農作物は自分で作っていたとしても、ハムやコーヒーを手に入れるためには、人と交流しなければならないはず。
老人の死後、兵士は一人で老人の家で、牛とネズミと暮らし、誰とも会わず10年近く暮らしたのか?
牛は乳を出さないまま?しかも牛よりネズミが長生き?
そんなバカな。
寓話にしろ、信じるに足るリアリティは必要。出産しなくても乳のでる牛のいる、まったく別の宇宙の星を舞台にしてる訳じゃないんだから。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年6月24日
- 読了日 : 2017年6月24日
- 本棚登録日 : 2017年6月24日
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