ブルーとオレンジ (文学の扉)

著者 :
  • 講談社 (2014年7月2日発売)
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本棚登録 : 132
感想 : 15
3

いじめを描く小説。登場人物は小5で、読み手もその辺を想定していると思う。子どもの読者にとっては、読みやすい上、とてもリアルで、ちゃんと解決して後味も良いので、おすすめ。
LINEがあったり、女の子か自分のことを「うち」と言ったりするあたりがイマドキ(と思うが2020年の小学生がそう言っているか確信はない。ちょっと前はあった。)。だから、そんなに長持ちする小説ではないかも。
しかし、これをリアルに感じるということは、本当に息苦しい世界に今の子ども達は生きてるんだなと嘆息。ここではいじめはあるものの、子ども達レベルで解決できたが、実際にはいじめっ子の親がクレイジーで怒鳴り込んで、教員が収めたいあまりいじめをなかったことにしてしまうとか、もっと泥沼の展開も容易に想像できるのだが(だからラスト近く、主人公がいじめっ子の家に行って反省を促すシーンはドキドキした。逆ギレしちゃったら、親が出てきたらどうしよう、と。)、そこはキレイにまとまっていた。
前半の主人公ブルーは自分の力でいじめを克服したが、シングルマザー家庭で貧困であり、これからどうするのか心配だし、後半の主人公オレンジは、いじめられている友達の兄が特別支援学校に行っているとアウティングしていて、大丈夫か?と思う。
しかし、教師の力のないことよ。これじゃ子どもが自分達で解決するしかないと思うのも当然。
小中学校教師にも読んで欲しいものだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月6日
読了日 : 2020年8月6日
本棚登録日 : 2020年8月6日

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