震える舌 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社 (2010年12月15日発売)
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本棚登録 : 114
感想 : 13
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映画が強烈で、「エクソシスト」並のホラーという印象だったので、大人になってから三木卓原作と知って驚いた。
読んでみると、精神的に追い詰められていく夫婦を描くという点ではサイコサスペンスとは言えるかもしれないが、ホラーではもちろんない。
娘の異常の原因が、病院に行っても分からず、躾の行きすぎでおかしくなったんじゃないか、とか若い夫婦が疑心暗鬼に陥る。
やっと破傷風とわかって入院するが、治療が遅れたため激烈な発作が襲う。
当然娘の「死」を考える。
疲労と心労が重なり、妻は精神的なバランスを崩す。

実体験に基づいてはいるものの筆致は感情に溺れず、さすが小説家、親であっても業が深いな、と思った。
いい小説だけど、家族を描き、映画がホラー扱いだったことを考えると、三木さんの奥さん、娘さんは辛かったのではないかな、と考えてしまうのは余計なお世話か。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年11月16日
読了日 : 2012年11月15日
本棚登録日 : 2012年11月14日

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