キャラクター精神分析 マンガ・文学・日本人(双書Zero)

著者 :
  • 筑摩書房 (2011年3月24日発売)
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本棚登録 : 293
感想 : 22
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系譜学的なアプローチで考えれば、やはり近代以前の宗教文化にキャラの淵源はあると考えた方が通史的な合理性はある。つまり人間でない何かとのコミュニケーションを可能にするための擬人化インタフェースとして神=キャラが要請された。それは脳のコミュニケーション機能を人間でないものに転用したものなので、強度は申し分ない。古代においては、山の向こうから来る人の姿をしたものが人間かどうかすぐに決定することはできなかっただろう。だから神とのコミュニケーションは必ずしも特殊なものではなかった。人間相手とのやりとりの延長だったはず。そうして生まれたキャラを媒介とするコミュニケーションが宗教から芸能(演劇や文学)にも伝わっていって、むしろ近代以前の基調はこちらであった。と考えるとすっきりすると思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: キャラクター論
感想投稿日 : 2011年6月4日
読了日 : 2011年6月4日
本棚登録日 : 2011年6月4日

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