星を掬う (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社 (2021年10月18日発売)
4.11
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本棚登録 : 11863
感想 : 901
5

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1.あらすじ 
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ラジオをきっかけにして、かつて自分を捨てた母と出会い、一緒に生活するようになる。
子育てを放棄した母と、不幸な人生を歩んできた娘千鶴の親子の物語。

星を掬う。(すくう)
不思議なタイトル。本編の中では記憶を掬うという表現が出てきます。その記憶は星のようにいろいろな輝きを放つものでした。


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2.感想 
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いや〜、とても良い作品でした。
とても読み進めるのか辛い部分があり、もどかしさがあり、イライラする部分もあり、いろんな感情を引き出す作品でしたが、最後には自然と涙がでてしまう作品でした。
             ◟( ᵒ̴̶̷̥́ ·̫ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )

ネグレクトやDVなど、昨今多く耳にすることが話の中心となっていて、とても考えさせられる部分が多いです。私は既に2人の子どもがおりますが、親になるということは、ほんと、大変なことだと思います。自分を大切にしていきたいけど、強い依存関係が生まれることもよくわかります。

私も男ですが、男ってダメだよな〜、というのが、何度も頭に中にでてくる作品でした。現実にいるんだろうな〜、こういう人たちが、、、と思いました。ほんと、男ってダメだなと強く思ってしまいます。

町田その子さん、5冊目でした。
今までに読んだ作品はどれも素晴らしかったですが、今作品もとても素晴らしい作品でした。ストーリー、キャラクター、心に残る言葉たちが、どれもとてもよかったです!!


◇◆本編とは関係ないですが、、
「身の丈、、、」という言葉が出てきます。
いろんなことが学びで成長させることができる、ということを、最近何度も聞かされていますが、本当にそうなのか?ということを考えさせられます。長年、培ったものが、たった数ヶ月の学習や、1、2年の就業経験で変えられるものなのか?身の丈とは、何を持って測るものなのか、、、というのが、最近頭に何度もでてきます。

それから、本作でも「傲慢」という言葉もでてきました。傲慢なんて、滅多に目にすることもなかったのに、、、
本作では、「誰かを理解できるというのは傲慢。」なんて言葉がでてきます。自分自身の傲慢さは、意識していきたいです。


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3.主な登場人物 
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芳野千鶴
内田聖子 千鶴母

さざめきハイツ)
九十九彩子 つくも
芹沢恵真 美人、己の受けた痛みを決して誰かのせいにしない。
美保 彩子の子ども

結城

野々原弥一 別れた夫、ダメ男、暴力的

ラジオ番組)
野瀬匡緒 まさお

パン工場)
川村主任
岡崎

デイサービス)
百道智道 ともちん、おデブ、ぼうず頭


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4.語彙
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・爪に火を灯す

ろうそくや油の代わりに爪に火をともす。ひどくけちなこと、つましい暮らしをすることのたとえ。
爪を火にくべることは禁忌であったから、そうでもしなければ暮らしていけないほどの極貧生活が強調されています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年12月22日
読了日 : 2022年12月22日
本棚登録日 : 2022年12月18日

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