とても面白かった。
キリスト教と日本の歴史的な考証が素晴らしい。
前半、現在のクリスマスと、戦国時代に日本で行われていたキリシタンの生誕祭には断絶があるということが考証される。この頃のキリスト教は、めちゃくちゃ怖い。キリスト教徒でなければ人にあらず、キリスト教の文化でなければ全て邪教の文化、破壊して、キリスト教式に塗り替えるべきということが書簡などから透けて見える。
一神教だから、日本の大らかな多神教では無理な感覚。日本なら、キリスト教も、いくつもある宗教の一つ。そんな神様もいるんだって感じだが、キリスト教を信じるってことは、それ以外の神様を一切否定する、また、それにまつわる習俗にも迎合しないってことだから、日本の風土と合わない。
結局はキリスト教の世界征服計画だから、看破した日本では布教自体をNoと言い続けてたけど、明治になって、あからさまにNoを言い続けるのも難しくなった。そこで、キリスト教?うん、一応受け入れてるよ、だってほら、うちの国でもクリスマスやってるから、という感じにするために異郷のお祭り(日本的軟化ver)として受け入れ始めた。毎年、新聞に、横浜なんかの居留地、もしくは元居留地での楽しげなクリスマスの状況を報道していた。クリスマスの成立自体が、ローマ帝国でキリスト教を受け入れるにあたり、これまでやってた他のお祭りに被せる形で、行われた。そのうえ、そのクリスマス(イエスの誕生日)もサンタクロースが贈り物をする日に取って代わられつつある。キリスト教の目立ったイベントでありながら、そのありようは、全くキリスト教的でないので、元々の意味を離れて、とにかく馬鹿騒ぎをする日として受け入れるのに都合がよかった。…というようなことが、歴史的な検証を踏まえ、考察される。
後半は、昭和、戦争を経て後の、恋人たちのクリスマスに至るまで。
- 感想投稿日 : 2022年1月20日
- 読了日 : 2023年1月4日
- 本棚登録日 : 2021年12月27日
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