小説の神様の、小説の神様たるゆえんの小説。
むずかしいことはさておいて、なんで志賀直哉が神様なのか、という点だけピックアップすると、主人公順吉と作者志賀直哉が完全にシンクロできるからで、普通の作者(人間)であれば躊躇するであろう"同一感"が、やはり人間離れしていると思った。
この話、なんでか父親と仲たがいしている主人公(順吉)が、順吉の娘の死によってなんとなく心境の変化があって父親と和解したら親族がみんなして喜んだ、という手合いの話なのですが、この、娘が死ぬまでの順吉の肉眼は、平成の世の中ででも十分に通用するスリリングと悲壮感を兼ね備えております。
これで実際にちいさな娘さんのあるかたならば、よりもっと気が気ではないことでしょう。逆を言えばこの「すごさ」を超えないからこそ、まだ志賀直哉がもてはやされたりするということなんですが。
一度は読んでおいていいです。比較的短いものですから。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2013年7月3日
- 読了日 : 2013年7月3日
- 本棚登録日 : 2013年7月3日
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