よく出来た物語。
貴族文化真っ盛りのパリで、逃亡してきた友だち(故人)の娘をあずかった公爵夫人がおった。預かった娘はみるみるうつくしく成長し、クラヴサン(という鍵盤楽器があるらしい)の先生と恋に堕ちる。
んだけれども、公爵の友だちの金貸し(ヒヒオヤジ)がこの娘をものにしたがる。当然娘はウンと言わない、公爵は金貸しとの結婚を承諾するまで、娘を修道院に閉じ込めるが――さてどうなる、と、事実関係はこんなところかしら。これを、公爵夫人と、語り手である「私」との書簡のやりとりを中心に書いている、わけです。
三時間くらいあれば読めちゃうくらい流暢な文章。なので、ちゃんと読みこめば「ああ、面白かった」以上のものはあるんじゃないかなぁとは思うのです。そもそもこの「私」は誰なんだ? という疑問が残ったのです。
がしかし、ある事件の構造があって、その事件をどこからの光で照らすのか、とまぁ、設計図通りに組み立ててあって、ああ、設計図がしっかりしてるんだなぁ、面白いなぁ、と思って満足すればそれでおしまいな気もします。
現在の日本の世相に重ねるもよし、パリの貴族的な雰囲気を楽しむもよし。
なんかこう、試すすがめつしながら読むもんでもないのかなぁと思ったりしました。
娯楽作品です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2013年7月4日
- 読了日 : 2013年7月4日
- 本棚登録日 : 2013年7月4日
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