鬱屈精神科医、占いにすがる

著者 :
  • 太田出版 (2015年12月10日発売)
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本棚登録 : 309
感想 : 29
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 面白さを説明するのが難しい。
 鬱屈した精神科の先生が(同業者に相談するのは憚られて)救いを求めて占いに行くのだけれど、占いに求められるのは「アドバイス一つで劇的に状況が好転するカタルシスだ」というのは、毎日Lineだのの12星座占いを見て一喜一憂するタイプの人間(アタシだ)には非常に思い当たる部分がある。

 が、代わりに触発されて想起されたのは自身の母親との関係性だった、という部分に関しては、これはもう「ある母子の関係」という文学なのでそれはそれで面白く読んだ。

 そうなんだよなぁ、そこの「精神科医と占い師の相似性」の問題と「母との愛憎」の問題が入り乱れているからこそ、面白さの説明が難しいだなあ、というのがいま文章を書いていてわかったことだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・エッセイ
感想投稿日 : 2023年6月6日
読了日 : 2023年6月5日
本棚登録日 : 2023年6月6日

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