本物の知性を磨く 社会人のリベラルアーツ

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  • 祥伝社 (2015年9月24日発売)
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従来のリベラルアーツでは触れられてこなかった科学、技術的な分野に視野を広げた新たなリベラルアーツを説く。世界レベルでの地域ごとの文化のコア、というものがつかめれば今後のあるべき姿を定めるのにつながる。歴史から学ぶことは多い、と思わせてくれる本。これからグローバル化が進む中で地域間での差異は少なくなっていくと思うが、そこに至るまでには長い年月がかかるはず。グローバルリテラシーは必要性が高い。最後の英語のくだりはちょっと長すぎた気がする。


●リベラルアーツとは何か

教養=人格形成という日本型教養主義の悲劇。リベラルアーツは「自由精神」と「教養」を含み、グローバルリテラシーに包含される。文化の多面的理解、4つのコア。従来のリベラルアーツにとどまらず、理系、経験的な学問も必要。リベラルアーツはリーダーを鍛え、まさかの時に備え、生き方を考えるもの。

●世界観・人生観は歴史書に学ぶ

手触りのある歴史観。社会の有り方、人としての生き方を考える。歴史書に書かれていない歴史的事項に興味を示す。歴史書より人物伝。文化のコアは時を経ても変わらない。現代と異なる当時の価値観を知りつつ、当時と変わらない価値観もあることに気づく。

●ものづくり日本はどこへ行くのか?

科学史、技術史、工業史から文化が見える。日本のアナログ思考と西洋のデジタル思考。日本は道具ではなく技術で対応、西洋は道具に技巧をビルドイン。機械を人に合わせるか、人が機械に合わせるか。西洋にキャッチアップできたバックボーンとして連綿と引き継がれる技術の文化が日本にはある。一方で生産性に対する思慮が足りない。多様性に対応できない。

●ヨーロッパ文化圏のコアを探る

コアであるギリシャ・ローマ時代と中世。自由と原則・プリンシプル。身体の自由と言論の自由。武士道は日本固有のものではない。プリンシパルがなく同胞意識で解決する日本。猥雑な中世ヨーロッパ。

●ヨーロッパ、イスラム、インド、中国、朝鮮の文化のコア

同時代における地域の比較、横方向の比較。科学は理論と体系化を志向するのに対し、技術は解決法に注力する。思想面では比較しづらくとも、科学や技術は物体があるため比較しやすい。

●ギリシャ語・ラテン語を学ぶ

英語ではなくより多言語を。9割の日本人には英語は必要ない。ビジネス上必要な1割も、知的刺激として英語を学ぶ9割も、多言語に触れるべき。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス・思考
感想投稿日 : 2020年5月19日
読了日 : 2018年4月14日
本棚登録日 : 2017年11月3日

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