天は赤い河のほとり 28 (フラワーコミックス)

著者 :
  • 小学館 (2002年7月26日発売)
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本棚登録 : 490
感想 : 28
5

全28巻の感想です。
評判はよく耳にしていたので、今回面白い歴史漫画が読みたいと思い思い切って全巻一気買いしました。
主人公は15歳の女子中学生。彼女が古代ヒッタイトにタイムスリップすることから物語は始まります。とはいえ、主題は現代社会と隔絶された主人公が元の世界に帰ろうと奮闘努力するあれこれではなく、彼女の古代での恋と成長の物語という歴史ファンタジーです。骨太の歴史マンガをお望みの向きには趣が違うでしょうが、物語中に歴史的な事実がうまく絡めてあったりして作者うまいなと思いました。エジプト王妃ネフェルティティの彫像のくだりはその最たるものではないでしょうか。
主人公が「特別美人でもなく、見た目も性格もボーイッシュ、なのに全方位からモテモテ」という一昔前の少女マンガテンプレートなのと最近の絵柄じゃないのがOKなら、テンポよくいろんな出来事が起こるのであっという間の28巻です。
終盤で主人公たちの敵対勢力の描写に紙面が割かれますが、個人的にはここが一番魅力がありました。最初から最後まで主人公たちに理不尽に仇なす憎々しい敵役たちなのですが、この人たちの人生にその切なさに涙しました。脇役ゆえに多くは語られないので、その語られない部分への想像の余地があるのもなんとも言えぬ余韻があって良かったです。他の脇役たちも魅力的な人物が揃っていて、それも全編飽きることなく読ませてくれる要因だったように思います。
物語はきれいに大団円を迎え、読後感も良かったです。
自分が少女のころにこのマンガを読んでいたら、おそらく1も2もなく主人公に感情移入して敵の心情を推し量ることなど無かっただろうと思うと、若い頃にも読んでみたかった気もしました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2015年10月2日
読了日 : 2015年9月15日
本棚登録日 : 2015年9月15日

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