二十四の瞳 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店 (2018年5月17日発売)
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本棚登録 : 259
感想 : 28
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ふと懐かしくなって読んだ。

映画を観たのも、子供向けの本を読んだのも小六か中一だから、文庫本で今回読んでみてその記憶力に我ながらびっくりした。よく覚えているものだ。あいかわらず涙なしには読めないのだが…。

あらためて壺井栄は文章がこんなにうまかったのかと思う。物語として完成した美しさである。子供時代にこんないい本を読んでいたのか!だから感動が持続するのだろう。

ユーモアたっぷりな泣ける物語の中にさりげなく、だが力強いメッセージがある。

おなじ人間として生まれた命が、みんな同じように成長していかない運命の不平等さ。それを深く深く考える一人の女性、岬の分教場の12人の一年生を受け持ち教える先生。先生自身も子供たちに教えられ成長をとげ、強くなっていく。

と書くと普通で面白みが無いようなんだが、そこがストリーテーラーの腕の見せ所、小豆島という背景と愛情とおかしみという味付けがすばらしいのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2005年
感想投稿日 : 2021年9月12日
読了日 : 2005年8月22日
本棚登録日 : 2021年9月12日

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