よく音楽CDでは 「ベストセレクト…」を購入する。特にちょっと前の人気だった歌手がたくさん歌っているものは。要するにあまり聴き込んでいないからわからないのだ。だからおまかせ。
作家の短編集はどうだろうか。たいがいは書き溜めて出版されるのでそれを読む。たまに、作家自身の撰集というのもある。もれなく網羅してある全集もある。あるいは、編集者がいくつか選んでまとめ全集に収録してあるのもある。
松本清張氏は260篇も短編を書いたそうである。私はその内の100篇足らずしか読んでいない。清張氏の短編が大好きなのにである。これではファンとは言えない。
と、感想が興った『宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション』(上)を読了。
私にとっては、揺り起こしてくれた撰集ということか。
やはり、芥川賞受賞作品の『或る「小倉日記」伝』に思い入れがある。現在読み返してみると当時(30年位前)とても暗いイメージで胸に迫ったような記憶があったが、人生ってこんなものかもしれないとの感慨、清張氏の筆力に感嘆、驚異であった。ちなみに私はこの短編によって森鴎外の作品に興味を持ち、ほとんど読むことになった。
儲けものは『恐喝者』。もちろん初読んだが清張氏の犯罪ものの原点らしい。面白いし少しも古くないし安心して読める(構築がしっかりしていて、文章が落ち着いている)、といいことずくめ。認識新ただった。
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未読は『理外の理』『削除の復元』だった。
他は『一年半待て』『地方紙を買う女』『捜査圏外の条件』『真贋の森』『昭和史発掘―二・二六事件』『日本の黒い霧 追放とレッドパージ』
認識新たにした残りの未読160篇はどのようにしていつ読もうか、どうしようかな。
- 感想投稿日 : 2021年9月10日
- 読了日 : 2005年3月20日
- 本棚登録日 : 2021年9月10日
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