一億三千万人のための 小説教室 (岩波新書 新赤版 786)

著者 :
  • 岩波書店 (2002年6月20日発売)
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本棚登録 : 1211
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小説家志望ではない、いち読書好きとして。素晴らしい、と読みながら震えてた。小説家心理、というか、「この人どういう考えでこれ書いたんだろうな」「小説家ていつどんな風に着想を得るんだろうな」っていう長年の疑問の、答えを得た。

「ここは作者の意見を表しています」「ここは大事なので」とかいって「赤でアンダーライン」みたいな高校までの国語とは違う、ホントの読み方を提示している。これは小説家にしか書けない。

中でも痺れたのは、村上春樹の「羊をめぐる冒険」とレイモンド・チャンドラー「長いお別れ」がならべられて(他にも多数の例が挙げられている)いる部分。
小説では「小説をつかまえる」「小説をまねる」というのが、常識というか定石というか、フツウだというのを示している。

古典から現代小説まで、読み込んでいる人にとっては「あたりまえでしょ」な事かもしれないけど、不勉強な読書家にとっては、天啓にも等しい教えだった。

読書ガイドも読んでみようと思った。
すぐ読めるのでぜひ読んでみて欲しい本。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2023年3月23日
読了日 : 2023年3月22日
本棚登録日 : 2023年3月22日

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