歴史家が見る現代世界 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2014年4月18日発売)
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本棚登録 : 254
感想 : 25
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糸井重里氏の「インターネット的」がこの本に着想を得たというのを読み、図書館で借りてきた一冊。
何時だったかチームラボの猪子さんが日本は「チーム」ではなく「グループ」で動いている。従って個の総体が集団になっている、シンクロやショーなどは強いがサッカーのチーム戦になるとクリエイティブな発想が生まれにくいという事を仰られていて成程なあと思った次第。
日本文化は「安心社会」であり「信頼文化」ではないという一見乱暴な議論。統計的な数値は結論ありきでちょっとなあという感じでしたが重要な指摘と感じました(日本がアメリカがという対比は正直飽き飽きですが)

山岸氏は日本は人が人を管理する相互監視、相互規制するような集団利益を優先せざるをえない構造によるとしている。それは日本の「恥」の文化にも表れている。
「社会的不確実性」をどのように担保するかは重要なテーマでありこの時に理解しておかないといけない定義が取引費用と機会費用である。
取引費用とは相手を信用する為の調査費用、また騙されるリスクもここに含みます。機会費用とはある行動に投資した時間&費用を別に投資した時に得られる費用の事。つまりどちらかに偏るかにより文化が高信頼性文化か低信頼性文化かが変わってくる。

個人の話でいけば「集団内部での関係の理解=関係性検知能力」と「集団外部での関係の理解=人間性検知能力」は全く異なる能力であり、前者はノンバーバルコミュニケーション能力で補えるのに対し後者はヘッドライド型知性が必要となるという所の指摘が一つ勉強になりました。

もう一つ面白かった所を一つ
「サンクコスト」「授かり効果」という一見非合理的な行動は人間の歴史の99%を占めている狩猟時代の適応である(非合理行動の適応合理性)

読書状況:読みたい 公開設定:公開
カテゴリ: 自己啓発
感想投稿日 : 2017年8月21日
本棚登録日 : 2016年3月30日

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