読んでよかった。
読んだのが、原爆の日というタイミングでもある。
「体は設計図を失ってしまった」
この事実が絶望そのもので恐怖でしかなく、どうせ死ぬならとにかく楽に…と願ってしまった。なぜ苦痛を強いる治療を続けたのか?とも。
前川医師が引くに引けない状況だった、けれども、前川医師自身も献身的に大内さんに接していたことを思うと、治療が人体実験だったなどと言うのはあまりにも軽はずみなことだとわかる。
意思の疎通がとれなくなった大内さんのいのちは、生かすしか道はなかった。家族も希望を棄てていなかった。そんな状況で看護にあたった4人の看護師のインタビューはとても貴重。
間違いもなければ正解もない。
それでも、タラレバの話をするなら…
大内さんにこれから起こることを告知していれば、話せるうちに大内さんの意志を確認していれば、家族も医療関係者も何より大内さんが苦しまずに済んだのにな、と。
※ALS患者による安楽死依頼で逮捕者が出た頃、この本の存在を知った。
この事件を受けて、各方面で様々な議論が起きたことと思うが、治療や看護など手を尽くしても「死」を避けられない人、という点で何か通じるものがある。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年8月7日
- 読了日 : 2020年8月4日
- 本棚登録日 : 2020年8月4日
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