増補新版 いま生きているという冒険 (よりみちパン! セ)

著者 :
  • 新曜社 (2019年5月15日発売)
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本棚登録 : 181
感想 : 18
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 多くの漢字にはふりがながふられ、世界を拡げた記憶を紹介する文章とともに綴られている写真、文章では伝わりにくいことを、図入りの解説として添えているので、子どもに、若い人に是非読んで欲しいという想いが伝わってくる。
 石川直樹さんの言葉は、平易な言葉のようで、日常のなかで無難に生きていく人たちの使う周波数帯とは少し違っているので、チョット難しく感じるところもある。そのことは石川さん自身が判っていて、ギリギリのところまで、砕いて言葉にしているのも伝わってくる。(でも、言葉って伝えること、判ってもらうことに傾き過ぎると、今度は自分の言葉が出てこなくなる、拾い出せなくなるということがある)
 こんな素晴らしい体験をした人、自分の要望に果敢に挑んだ人、そしてその体験で『生きている』こと、宇宙のこと、人類の歴史のことを俯瞰して自らに問い続ける姿勢は、私のようなオヤジであっても今更ながら姿勢をたださせられる。
 以下、気に入った著者の言葉を添えておきます。
この本はサクッと読めますので、空き時間に是非手に取ってください。
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いまぼくたちが生きている物質的な空間とは別の世界が確かにあって、それは「ここ」や「あそこ」にあるのではなく、あらゆる場所に存在しています。その世界への通路は、いわゆる「聖地」と呼ばれる場所にひらかれていたり、あるいは想起する力によって自分自身の中に引っ張り込むことも可能になるでしょう。ミクロネシアの航海者や洞窟壁画を描いた人々、沖縄ではノロと呼ばれた神事を司る女性、先住民社会のシャーマン、あるいは現代の優れたアーティストなどは、そのような通路を意識せずに自分の中にもっていて、現実の世界で表現し、誰かに伝える力をもっている。

 現実の世界とは別の世界を探すプロセスは、そのまま精神の冒険であり、心を揺さぶる何かへと向かう想像力の旅へとつながっていきます。それは実際に世界を歩き回るよりもはるかに難しく、重要なことであると考えている。たとえ世界中のあらゆる場所をくまなく見て回ったとしても、その人が歩き続けていく限り、未知のフィールドはなくならないどころか、無限に広がっていく。

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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月5日
読了日 : 2020年8月5日
本棚登録日 : 2020年8月2日

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