東京23区×格差と階級 (中公新書ラクレ 741)

著者 :
  • 中央公論新社 (2021年9月8日発売)
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ブルデューの理論を基に格差と階級に言及し、それを東京23区にあてはめているのが面白く感じた。

下町のジェントリフィケーションが進んでいく結果、経済的に豊かな人たちはますます新自由主義的な考え方を強め、経済的に貧しい人たちが空間的にも政治的にも追いやられてしまうという予測が著者によって提示されている。

東京を「階級都市」でなく、著者が言う「混淆都市」にするために新中間階級の一員である自分ができることは、なるべく自分の集団から想定しにくい場所(≒らしくない場所?)に住んで、かつなるべく地域コミュニティとの接点を増やしていくことなのでないかと考えた。これにより、微力ながら社会空間の多様性を喚起するのに寄与できればと思った。
もちろん、多様性そのものが称揚されるべきものではないと思うし、綺麗事で済まされない軋轢が生まれることが容易に想定できる。ただ、それでも、終章で著者が提示している悲観的予測がそのまま当たってしまうのは悲しすぎるので、自分の立場でできることを生活の中で実践しようと考えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年3月27日
読了日 : 2022年3月27日
本棚登録日 : 2022年3月27日

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