べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”»
どちらかといえば古い映画が好きです。 これまでに観た感動した映画、面白かった映画、心に沁みた映画をご紹介します。
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舞台はイングランド北方の農村。
物語は、口減らしのために川に投げ込まれた3匹の子猫を、3人の子供たちが救うところから始まります。
子供たちは農家の納屋に子猫を隠しますが、夜になって様子を見に行くと、そこに髭面のやつれた男が身を潜めていました。「あなたはだぁれ?」と女の子が尋ねると、驚いた男は「畜生!!(ジーザス・クライスト)」呟いたので、子供たちはすっかり、この方はイエス・キリストなのだと勘違いしてしまいます。
この男、実は殺人犯で、結局最後には捕まってしまうのですが、警察車輌で連れ去られる前に、身体検査を受けるため両腕をひろげたその姿が、十字架を背負うイエスのように見えたのでした。
凶悪犯を神さまの再来と思い込む、子供たちの純心無垢な心が美しく描かれた、とてもすばらしい映画です。
2012年05月27日
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1936年のスウェーデン映画『間奏曲』がハリウッドのプロデューサー(デビッド・O・セルズニック)の目にとまり、主演女優であったイングリッド・バーグマンをハリウッドに招いてリメイクした作品。ロマンチックなクラシック音楽の調べと、バーグマンの美しさが魅力の映画です。
ヴァイオリニストのホルガー・ブラントは、演奏旅行から戻って娘にピアノを教えているアニタに出逢います。ホルガーはすぐにアニタの才能を見抜き、ふたりは音楽を通じて親しくなりますが、やがてそこに愛情が芽生えます。
アニタは妻子ある男性を愛してしまったことに心を乱します。しかし、ホルガーは家庭を捨て、彼女を伴って演奏旅行に出掛けます。ふたりの演奏は各地で好評を博します。けれど、ホルガーの家族を思う苦悩を察したアニタは、自身も苦しみながら彼のもとを去っていくのですが・・・・・。
映画の原題は〝INTERMEZZO(間奏曲)〟です。アニタは言います。ホルガーにとって、ふたりで過ごした時間は間奏曲のようなものだった・・・・と。
むかしの映画は、道ならぬ男女の愛を描いきながらも、上品さを欠くことなく、エレガントな雰囲気に仕上がっているところが良いですねぇ。
2012年05月27日
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フレッド・ジンネマンといえば、商業的映画制作に批判的な態度を示し、作品の中で信念を貫き通す人物を描き、また自身もハリウッドで信念を貫いた映画監督です。また、モンゴメリー・クリフトも、大作への出演依頼を蹴ってでも、自分の出たい作品、舞台を選ぶほどの、アンチ・ハリウッド的演技派俳優ですから、そんな2人が組んで良い作品にならないはずがありません。
舞台は第二次世界大戦後のドイツ。ナチの収容所から多くの子供たちが救い出されたのですが、その中にカレルという自閉症の少年がいました。カレルは悲惨な体験がもとでしゃべることも忘れ、何を聞かれてもドイツ語で〝知らない〟としか答えません。戦争が終わっても子供たちはナチの影に怯え、カレルも恐怖心から国連救済所を脱走してしまいます。そんな少年に手を差し伸べたのがアメリカ兵のラルフでした。
カレルの父親と姉は命を落としてしまうのですが、運良く生き残った母親は、あてもなくカレルの消息を尋ねて旅をしています。
数日後には母国へ帰らなければならないラルフは、カレルをアメリカへ呼び寄せる決意をしますが・・・・。
フレッド・ジンネマン監督もオーストリアのドイツ系ユダヤ人の医師の家庭に生まれたそうですから、この作品にも自身の体験が色濃く反映されているのかもしれませんネ。
アメリカの良心ともいうべき、すばらしい作品でした。
2012年05月20日
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だれもが知ってるセルバンテスの小説を映画化したものです。
〝ドン・キホーテ〟は何度も映画化されていますが、このゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト監督作品が最も有名なのではないでしょうか?
主演のシャリアビンは、ロシア生まれの歴史に残る偉大なオペラ歌手だそうです。オペラにおける自然な演技を確立させ、力強くかつ柔らかなバスの歌声で、心理描写に卓越していたことから、〝歌う俳優〟と呼ばれていたとか。
本作の彼の容姿は、だれもがイメージするドン・キホーテそのままで、その存在感は圧倒的でした。
2012年05月05日
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アメリカン・ニューシネマの代表作といえば〝明日に向かって撃て〟。この映画は、実在した二人組みの強盗ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの生涯を描いた西部劇です。
アメリカンニューシネマとは、1960年代後半から1970年代にかけて制作された、反体制、反ハリウッド、アンチ・ヒーロー、アンチ・ハッピーエンド・・・などの特徴を持つ映画です。
〝明日に向かって・・・〟もかつての西部劇のように、かっこ良いガンマンや、悪を懲らしめる保安官が活躍する勧善懲悪ハッピーエンド的娯楽作品ではなく、それまでになかったリアリティが感じられます。
もともとこの映画の脚本は、スティーブ・マックイーンが目をつけ、ポール・ニューマンに声をかけて、折半で買い取ったものだそうです。結局マックイーンは都合で出演できなくなって、まだ無名だったロバート・レッドフォードがポールの相手役を務めることになったということを、DVDの特典映像を観て始めて知りました。
レッドフォードはこの映画で大スターへの第一歩を踏み出したわけですが、マックイーンが演じていれば、まったく違った雰囲気の映画が出来上がっていたでしょうネ。
2012年04月08日
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従来の映画文法や常識といったものを崩壊させ、商業的娯楽映画という概念をひっくり返した、映画史の分岐点に位置する記念碑的作品です。大きな照明も銀板も使わず、ほとんどが高感度フィルムを使用した隠し撮りで、ドキュメンタリー風の映像に仕上がっています。ゴダール監督はこの作品で、ヌーヴェル・ヴァーグの旗手として不動の地位を確立することになりました。
ジャン・ポール・ベルモンドはハンサムじゃないけど艶っぽいし、ジーン・セバーグも可愛いだけじゃなく、陰の部分も垣間見られます。モノクロの退廃的な雰囲気が、いま観てもカッコイイですネ。
2011年05月05日
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フランスとスペインの国境、ピレネー山脈のふもとの町ルルドは、奇跡の泉で有名ですネ。いまではカトリックの巡礼地にもなっています。この映画は、ルルドの泉を発見した実在の少女ベルナデットを描いたものです。
貧しい家庭に育った娘ベルナデットは、病弱ですが信仰心のあつい少女でした。ある日のこと、ベルナデットは村はずれの洞窟で白衣の貴婦人を幻視します。その噂を耳にした近在の人々が、彼女のあとについて毎日のように洞窟を訪れるようになりますが、ベルナデッド以外の人々の目に貴婦人の姿は映りませんでした。教会はその出来事を無視し、町の識者たちは、彼女を民衆を惑わす罪人として、あらゆる手段をつかって罰しようとします。
あるときベルナデットが、貴婦人のお告げのままに地面を掘ると、そこから泉が湧き出しました。やがて、この霊泉が死にかけていた赤児の命を救ったという噂が広まり、さらに多くの人々が、ルルドの村に集まりはじめました。それでも町の有力者は彼女を信じようとせず、教会もなかなか奇跡を認めようとはしません・・・・・。
この映画では、聖女ベルナデットが修道院で天に召されるまでの日々が描かれています。世間から何を言われようと、どんなふうに扱われようと、彼女の心は最期まで、傷つくことも、苦しむこともありませんでした。ベルナデットの純粋さに心洗われる、とても美しい映画でした。
2011年02月20日
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アッシジの聖フランチェスコの生涯を描いた史劇です。ハリウッド映画であるにもかかわらず、アッシジを初めとしたイタリアの各地と、ローマのチネチッタ撮影所で撮影されたそうです。
聖フランチェスコを扱った映画といえば、フランコ・ゼフィレッリ監督の〝ブラザー・サン シスター・ムーン〟(1972年)や、ロベルト・ロッセリーニ監督の〝神の道化師、フランチェスコ〟(1950年)などが思い浮かびますが、この作品では、生涯清貧を貫いたフランチェスコや、修道会の苦悩が、より丁寧に描かれています。映画の中で聖クララを演じたドロレス・ハートは、後に映画界を引退し、ほんとうに修道女になられたそうですよ。
2011年02月06日
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ぜひとも観たい映画でした。
精神薄弱で耳が不自由、言葉も話せないエレは、村の男たちの慰み者でした。けれど、心は純真無垢な美しい少女エレ。舞台はフランスのオート・サヴォワ。南アルプスの美しい風景の中で描かれる愛の不確かさ。無垢とは愛に至らないが故に、愛に優るものなのかもしれません。ラストシーンの意味を考えざるを得なくなる、深い余韻のある作品でした。
2011年01月03日
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初老の大学教授と美しい教え子との恋。。。。。と書いてしまえば、よくある単純な恋愛映画と誤解されそうですが、経験豊かな初老の男が、若い女性と激しい恋をすることで、ひとを愛することの大切さを知る。その過程が細やかな心理描写で映像化されています。
人生は矛盾と後悔ばかり。愛だって、美しいばかりではありません。それでも、傷つくことを恐れていてはいけないのですね。ひとは独りでは生きていけないのですから・・・・・。
2010年01月03日
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激しく胸の痛む映画でした。
舞台は19世紀の仏蘭西。
青年アドルフが、伯爵に囲われているエノールという歳上の美しい婦人に恋したことが、悲劇の幕開けでした。エノールには2人の子供がいて、はじめはアドルフの気持ちを拒むのですが、いつの日かその愛を受け入れ、より一層青年を愛するようになってしまいます。ところが、婦人の愛を手に入れた青年の情熱は、時がたつうちに段々と冷めてしまい、それでも後ろめたさから関係を断ち切ることができずに苦しみます。愛を失うことを恐れるエノールと、献身的な愛に背を向けることができずに苦悩するアドルフ・・・・・。
愛はときとして、ひとの心を深く傷つけるものです。そうと知っていながら、それでもなお愛さずにはいられない・・・・・。人間とは、なんて寂しい生きものなのでしょう。
それにしてもイザベル・アジャーニって、このような役を演じさせたら並び立つもののないほど、鬼気迫る女優さんですねぇ。
2010年01月01日
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愛することの不安と、秘められた孤独を、静かに語る美しい映画でした。
田舎の貧しい家庭で育った少女は、裕福なお屋敷の家政婦となり働き始めますが、その町で母親を亡くしたばかりの青年に出会い、誘われるまま一夜を共にします。
お屋敷を飛び出した少女は、その後運命に弄ばれるように、人生の坂道を転がり落ちていきますが、その状況を素直に受け入れて生きるピュアな心が、周囲の人たちや、愛に怯える青年の心さえをも癒していくのでした。
ヒロインを演じたモルガン・モレは、とても新人とは思えない存在感でしたよ。
2010年01月01日
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神の子を宿したマリアと、彼女を受け入れたヨセフの、苦悩と葛藤を描いた、イエス誕生までの物語。
当時のユダヤ社会からはじき出され、蔑視され虐げられていた羊飼いたちが、救い主の御子の誕生を天使から知らされ、岩屋を訪れるシーンでは、涙があふれてとまりませんでした。
2009年12月31日
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不朽の名作として語り継がれる伝説の映画を、やっと観ることが出来ました。
1950年代に製作されたこの2作品が、2007年のカンヌ国際映画祭で再び出品され事件となったそうです。同じ作品が2度正式出品されるのは、史上初なんだそうですね。
永遠に空を舞う風船。永遠に海を駆ける馬。なるほど、どの場面を切り取っても絵のように美しく、いま観ても色あせることのない、す〜んごく魅力的な映画でした。どちらもほとんど台詞のない短編映画なのですが、非常に密度の濃い作品ですよ。
難解じゃなく、誰もが感じ取れるシンプルなものが成功するとき、それはとても力があると、谷川俊太郎氏がおっしゃっている通り、また、いわさきちひろさんも?赤い風船?をご覧になって、絵本を描かずにはいられなかったというほど、ほんとうにすばらしい映画でした。
【赤い風船】
ある朝、街灯に赤い風船が引っかかっているのを見つけた少年パスカルは、よじ登って風船を手に取り、そのまま学校へと向かいます。風船とパスカルがずっと一緒に過ごすうち、いつしかふたり(?)の間に友情が芽生え、風船は少年の後をついてまわるようになりました。ところが街の子供たちはそれを羨み、ふたりを追い掛け回しはじめます。そして、ある日とうとう子供たちは風船を捕まえ、石を投げつけて割ってしまいます。割れてしまった風船を見つめて悲しむパスカル。すると少年のもとへ、街中から色とりどりの風船が集まってきて、空高く少年を連れ去っていくのでした。
映画の舞台は、パリの田舎と呼ばれる20区メニルモンタン。古い街並みや石畳の裏路地。。。。。そこで暮らしたことがなくても、なんだか懐かしい気分にさせられる風景が、ほのぼのとした郷愁を誘います。
それにしても、風船にあれだけの感情表現をさせるなんて・・・・・。CGなんて存在しなかった当時の技術で、この映画がどのように撮影されたのかは明かされておらず、いまもなお映画史に残る謎のひとつとされているそうですよ。
【白い馬】
舞台は南仏のカマルグ。そこの荒地に野生の馬が群生していました。群れのリーダーは誇り高く、人を寄付けない白い馬。牧童たちは白い馬を捕まえようとしますが、すぐに逃げられてしまいます。その様子を見ていた漁師の少年ファルコは、いつしか白い馬に憧れの感情を抱くようになります。牧童たちは少年に向かって「捕まえたらお前にやる。お前の手に負えるわけないがな」と嘲笑し、ファルコの心を傷つけます。
ある日、水辺で馬を見かけた少年は、秘かに忍び寄ってなんとか手綱をかけるのですが、そのまま湿地帯を引きずりまわされるはめに。。。。。それでも手綱を放そうとしないフォルコ。白い馬はいつしか少年に心を許すようになりました。初めて感情が通じ合った馬と少年の寄り添うシーンは、胸に残る名場面です。
その後も白い馬は牧童たちに追いまわされ、逃げ惑う日々が続くのですが、ある日、とうとう隠れていた葦の原に火を放たれてしまいます。どこまでも逃げていく少年と白い馬。ついに海に追い詰めらてしまった馬は、少年を乗せたまま海へ飛び込み、沖へ沖へと泳いでいき、やがて波間に消えてしまうのでした。
モノクロームの画面の中で、裸馬に跨って走る少年の白い衣装と、野生の馬の白さが際立って、とても美しい作品でした。
2009年08月16日
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?カルメン?といえばビゼーのオペラで知られていますが、原作はフランス人作家メリメの小説。フラメンコでも有名ですね。オペラや演劇、舞踏、映画と、あらゆるジャンルで題材に取り上げられるほど、カルメンはなぜ、こんなにも人々の心を魅了するのでしょう?
自由奔放に生きる魔性の美女カルメンと、愛に溺れ、破滅の道をたどるホセ。
情熱と官能、熱愛と嫉妬、純真と怒り、喜びと哀しみ・・・・永遠の業火に焼かれる二人。?カルメン?は愚かで美しい、究極のラヴストーリーなのかもしれません。
真実の愛を受け入れることができず、あのような生き方しかできなかったカルメンは不幸な女性だったかもしれません。でも、カルメンを愛し、カルメンのために苦しみ、カルメンを愛するが故に罪をかさねていくホセは、幸せな男だったのではないでしょうか?自らの破滅を知りつつ、それでも愛を選んだのですから。。。。。
アンダルシアの雰囲気と、哀愁漂うフラメンコが、とても印象的な映画でした。
2009年07月19日
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