西原理恵子の『ぼくんち』に似ている。働かない、飲んだくれる、女子供を殴る、パートナーと健全な関係を持てないなど、人のダメさが同じ。こういちくんのように、ハットができごとに句読点を付ける。
出ていくしかないやりきれない場所を描いて鬱々とさせないのはなぜか。過去を振り返る今はもう変わってしまった主人公が、ミゲル・ストリートにいた頃の子供の感性で持った憧れやときめきを、そっとそのまま並べるようにして慈しんで語っているから。その場所しか知らない子供にしか見つけられない良いものが、ミゲル・ストリートにはあった。それをまず書いてからでないと、ナイポールは先に進めなかったのではないかと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
英米 - 小説/物語
- 感想投稿日 : 2019年4月23日
- 読了日 : 2019年4月22日
- 本棚登録日 : 2019年4月23日
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