3、4年前にサンリオ文庫(『エバは猫の中』)で読んだラテンアメリカ文学アンソロジーの福武文庫版。ガルシア=マルケスとコルタサルの短編がそれぞれ違うのに入れ替わっている(二人の御大の本はアクセスしやすいので、サンリオと福武どっちがいいの!と迷っている人には「どちらでも大丈夫」といいたい)。やっぱり南米幻想物はおもしろいなあ、と感じ入った。またマイブームが来るかもしれない。
今回よかったのはこの二つ。
ドノソ「閉じられたドア」:コルタサルの「追い求める男」の勢いで追い求めている気がするのだが何しろ寝てるだけだから、という滑稽さと切実感。中年になって深い眠りが貴重になってきたので、いっそう味わい深く読めた。
エルナンデス「水に浮かんだ家」:今回は何だか、初読時より読みとれた気がする。喪失をうめるための狂いの話で、多少狂っていてもなんとかバランスを取って生きている、その取り方の独特さがよかった。DIY感があってたくましい。ぼんやり者の語り手をしっかり使ってるところも小気味よい。
番外でビオイ=カサ―レスの「パウリ―ナの思い出に」。名品として有名なこの短編、非モテの妄想力がすばらしい。なんでこんなきれいでしょんぼりなストーリーが作れるのか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
スペイン - 小説/物語
- 感想投稿日 : 2017年2月18日
- 読了日 : 2017年2月18日
- 本棚登録日 : 2017年2月18日
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